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INTERVIEWS WITH INVESTORS

(2016年 取材)

取得シェアは平均10〜15%で、原則リード投資家として参加

長南 立ち上げられたジェネシア・ベンチャーズのLPやファンドサイズを教えてください。

田島 1号ファンドは合計40億円で、みずほフィナンシャルグループ、キャナルベンチャーズ(日本ユニシスのCVC)、東急不動産、丸井グループなどの大企業や、中小機構などの機関投資家などから主に出資をいただいています。

長南 ジェネシア・ベンチャーズでの投資はどのような案件が多いですか。領域はインターネットビジネス全般だと思うのですが、ステージや金額など、どのくらいの規模感でしょうか。

田島 投資ステージは、シードステージ〜プレシリーズAまでの創業段階での投資にフォーカスしています。そして、次ステージでのフォローオン投資もしっかりやっていく形です。 1号ファンドの支援先の事業領域は、SaaSなどを含むB2B領域が約半分、メディア領域が約3割、ゲームなどのエンターテイメント領域が約2割といった構成ですね。日本のみならず、東南アジアを中心に海外にも積極的に投資をしています。

長南 シェアはどのくらいが多いですか。

田島 シェアは大体10〜15%が多いですね。原則リード投資家として投資させていただいています。

長南 支援先の経営者はどういったバックグラウンドの方が多いのでしょうか?

田島 若手の起業家もいますが、支援先の事業領域にB2Bが多いというのもあり、どちらかと言えばシリアルアントレプレナー、若しくはサイバーエージェントやリクルートなどの事業会社で活躍して起業、といったバックグラウンドを持つ起業家が多いですね。こういったビジネス経験の豊富な起業家は、ベンチャーキャピタルに対してお金以外の提供価値をしっかり求めてきます。言い換えると、そのベンチャーキャピタルから投資を受けることの"本質的な意味"をしっかり考えてベンチャーキャピタルを選ぶ起業家が多い。つまり、私たちがまさしく起業家に選別されるポジションにいるので、私たち自身が起業家の最良のパートナーとして選んでもらえるように日々進化し、成長し続けていかないといけないということでもあります。ベンチャーキャピタルという職業を通して、日々本当に色々なことを学ばせていただいていますね。

起業家へのメッセージ

長南 最後に、起業家へのメッセージを頂けますか。

田島 まず、これから起業することを検討している方、もしくは既に起業していて資金調達を考えている方に向けて。21世紀は、仮想通貨による資金調達手段の多様化、ブロックチェーンによる非中央集権型経済の幕開け、AIによる人間の果たすべき役割の変化など、数百年に一度の大きな時代の変革期であり、あらゆる産業においてデジタル・トランスフォーメーションが強く求められる、スタートアップとして起業するには事業機会がたくさん存在する、とてもエキサイティングな時代だと思います。そんな時代だからこそ、あらゆる制約条件を排除し、過去の延長に捉われない、大きな未来を描く起業家に出資を通じて併走させていただき、世の中をより楽しく、より便利に、より豊かにすることに全力で貢献していくつもりです。事業アイデアの壁打ち、戦略のブラッシュアップ、資本政策などなんでもご相談ください。

次に、今の会社に留まるべきかどうかなど、これからの人生をどう生きるのかをまさに考えている方に向けて。起業という言葉を聞くと、ハイリスクという言葉が条件反射的に脳に浮かぶ方もまだまだ多いと思いますが、個人的には、リスク自体の定義が変わってきていると思います。もはや、大企業だから一生安泰という時代では決してありません。いくら大きな船(大企業)に乗っていても、船長(経営者)が何を考えていて、一体どこに向かっているか分からない船に乗るのであれば、筏(スタートアップ)でも良いから、自分自身が舵を切った方がリスクは少ないかもしれません。チャレンジすることのリスクを考えるだけではなく、その場所に踏みとどまることのリスク、自分らしく生きることを諦めるリスク、も同時に考えてみるべきだと思います。

この記事を読んでいただいた人の中で、少しでも参考になる部分があればこれ以上の幸せはありません。本日は本当にありがとうございました。

投資家インタビュー Vol.12 ジェネシア・ベンチャーズ田島聡一氏 起業家へのメッセージ

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《 CONCLUSION 》

久しぶりにお会いしたこともあり、最初は恐る恐る話し始めていただきましたが、次第に熱量と想いのある話をしていただきました。 時折、はにかみながら関西弁でゆっくりと言葉を選択しつつ語る姿は、やっと本当にやりたいことを今、やられているのだと感じました。行間に言葉では表せない何かを感じ取って頂けると思います。

一人でベンチャーキャピタルを立ち上げ、数十億円の出資をLPから集める苦労話は今回はお聞きしませんでしたが、その貴重な資金を最大限、夢のある起業家に投資をされていることが分かりました。 また、ファンド立ち上げからこの短期間で数十社への投資が完了していることは、起業家からの厚い信頼の表れだと思います。 最後の船長の話は、自分の人生において何を幸せと感じて、どう考えて生きていくのか?と今一度、考えさせられました。 是非、起業家の皆様は、じっくりと煮詰めたBig Pictureを描いたビジネスプランを田島氏に全力でぶつけていただければと思います。

本インタビューにご興味を持たれ、田島聡一氏とのコンタクトをご希望の方は、下記からお問い合わせください。

投資家インタビュー Vol.12 ジェネシア・ベンチャーズ田島聡一氏

田島 聡一SOICHI TAJIMA

株式会社ジェネシア・ベンチャーズ 創業者 兼 ゼネラルパートナー

三井住友銀行にて約8年間、個人向けローンや中小・ 大企業融資、シンジケーション・債権流動化等、さまざまな形態の資金調達業務に関わる。2005年1月、サイバーエージェントに入社し、事業責任者として金融メディアの立上げに参画後、サイバーエージェントの100%子会社であるサイバーエージェント・ベンチャーズにて、ベンチャーキャピタリストとして投資活動に従事し、多数の企業をIPO・バイアウトまで導く。 2010年8月以降は、ベンチャーキャピタリスト兼同社の代表取締役として、同社をアジアで通用する数少ないベンチャーキャピタルにまで成長を牽引。2016年8月31日、株式会社ジェネシア・ベンチャーズを創業。大阪大学/工学部卒。

*本記事の内容は2016年取材時点のものに基づきます。所属、価格、企業名など時期により異なることがありますので、予めご了承ください。

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