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INTERVIEWS WITH INVESTORS

(2015/9 取材)

投資家インタビュー Vol.3前編 グロービス・キャピタル・パートナーズ今野穣氏 投資家インタビュー Vol.3前編 グロービス・キャピタル・パートナーズ今野穣氏

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《 INTRODUCTION 》

日本のVC業界では長期にわたり高いパフォーマンスを誇る株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズのCOOの今野穣氏を迎えて、グローバルでも評価されるVCの神髄をお聞きします。「創造に挑み、変革を導く」ことを目標に、「産業の黎明期を見出し、起業家と共に形創る」ために、具体的にどのような想いでベンチャー投資の業務を行ってらっしゃるのか。普段はサッカーに対する熱い想い以外、ベールに包まれている今野氏個人の本当の顔が垣間見えればと思います。

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戦略系コンサルからベンチャーキャピタリストへ

投資家インタビュー Vol.3 グロービス・キャピタル・パートナーズ今野穣氏 戦略系コンサルからベンチャーキャピタリストへ

長南 今野さんがベンチャーキャピタリストになられて現在までに至る経緯について教えてください。

今野 新卒でアーサー・アンダーセンというコンサルティングファームに入りました。新卒2年目ぐらいのタイミングでエンロン事件があって提携している世界中の会計事務所が解散しました。その後、各国の拠点のマージがそれぞれで進んで、日本の拠点はKPMGと一緒になりました。僕は戦略チームにいたのですが、KPMGと合併しても向こう側にそういう人たちがいなかったから、そのまま戦略を5年半やって、その後2006年7月にGCPに入りました。

長南 なぜ大手企業を相手にする戦略系コンサルからベンチャー企業を相手にするようなVCというキャリアを歩まれたのでしょうか。

今野 当時GCPに在籍していたパートナーに新しいファンドを作るから来ないかと言われて、最初に声をかけてもらったのが2004年だったんです。当時は「VCって何ですか?」っていう状態だったので、一度グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)でレクチャーを受けて、面白いなぁと思ったんですけど、ちょうどマネージャーのプロモーションと重なっていて。普通5,6年かかるパスを、飛び級で3年半でマネージャーになったんですよ。かなりの抜擢だったので、内示を受けたタイミングでさすがに恩返ししようかなぁと思って、一旦アプライを見送りました。その後マネージャーになって担当した案件が良い意味でどんどん大きくなって、2年後にジョブが区切りを迎えたタイミングで恩を返したなと思って辞めますって言って。

長南 コンサルから事業会社に行くというのはよくあると思うんですけど、コンサルからVCやPEファンドに行く人は多いですか。

今野 というか、GCPの堀以外の現パートナーは皆コンサル出身ですけどね。PEもいるんじゃないですか。2008年10年リーマンショック以降の戦略ファームのジョブって相手はPEファンドがクライアントとして多かったように聞きますし。その分距離が近くて、あと割とフレームワーク論が通じる組織規模だからPEは多い。

長南 相手が違いますよね、大企業からベンチャーって。コンサルだと金銭的な報酬は大きいけど、事業そのものからちょっと離れてしまっているとかそういった思いがあったんでしょうか。

今野 時代背景もあったんですけど、当時のプロジェクトってグロースのプロジェクトよりもコスト側の案件が多かったんですよ。コストコントロール、コストカット、最適化、オペレーション改革という名の。その意味では、端的に言うと飽きてしまった、と言うのもあります。

長南 絶対に監査とかできないですね(笑)

今野 できない(笑)その時にGCPに来て、やっぱりグロースというか売上成長にコミットする仕事をしたいなと思って。実はもう1個だけPEファンドで声をかけられて迷ったところがあったんですけど。グロース感が違ったと言うか。結局PEファンドの仕事って売上成長10%でも金融工学的な側面で利益を出すっていうケースが多いので。

長南 それって0-1と1-100の違いの様なものなんですかね。

今野 いや、リターンの出し方の違いですね。VCもしくはベンチャーって売上を上げるしかないでしょ。PEだとレバレッジを効かせて最適なコスト構造にすることで企業価値を上げましたっていうところでもリターンを得るので、ちょっとエグゼキューション側には寄るけどオペレーションコンサルとやってることと領域はあまり変わらなかった。

長南 そこでマインドセットされたんですね。

今野 あとはやっぱり、パートナーの人たちが楽しそうだった。10年前の当時、僕は27,8歳で部屋に通されて座って待っていたらあるパートナーが入ってきたのね。その方はその時に35歳ぐらいで、入った瞬間のオーラがすごく活き活きしてるな、と思いました。なんていうのかな、持ってるオーラとか触れてる空気が、きれいで、前向きで、元気で。こういう人がいる会社って楽しそうだって純粋に思った。10年経った今でもその時のことは覚えています。

長南 それで2年後に入ったと。理想と現実って一緒でしたか?

今野 むちゃくちゃ合ってますよ(笑)大手企業の任期がある程度決まっている役員って在任中にどれだけミスをしないかというところもあって、できない理由を挙げる方に回ることもどうしても少なくないわけです。こっちはやれる前提でものを考えないと何も進まないから、それは本当に衝撃を受けましたよ。それこそある意味言語が違う。

利害関係の前に人間関係を必ず作れ

長南 ベンチャーキャピタリストとして投資の前と後で起業家との関係性について変化はあるものでしょうか。

今野 これは社内で指導していることでもあるんですけど、「利害関係の前に人間関係を必ず作れ」って言ってるんですよね。いきなり顔を合わせて、会って1,2回ですぐに投資、というのはやっぱりできない。紹介者が信頼できる場合など間接証拠がある場合には会って間もなく投資が決まることもありますが、関係を作るという意味では投資前と後で人間関係の濃さは変わらないです。

長南 ウェットな付き合いなのか、あくまで仕事を介したある程度一定の距離感を持った付き合いなのかという意味ではどうですか。

今野 投資先企業とのコミュニケーションという意味では、僕自身は平常時であれば一定の距離は置きますね。特に、現場のスタッフには敢えて会わないようにしています。厳しい判断がしづらくなるので。社員総会や合宿に行ったりはするのでそこで接することはあるけど、日常的に現場と接して若い人と接してっていうのは僕は敢えてやらない。現場のスタッフに会わない理由がもう一つあって、ちょっとおこがましいけど、社長より目立っちゃ良くないと思うんですよ。因果関係を無視して正論を言えてしまったりして、結果社長と言ってることが違っている様な状況になると良くない。

長南 よほどのことでない限り、口もあまり出さないと。

今野 経営者、社長には出しますね。社員レベルに対しては出さない。

長南 今野さんのイメージだと、なんでもかんでも口を出すというよりは、普段は黙ってふーんと話を聞いていて、言う時は切れ味鋭く言う、というイメージがあります。

今野 それはそうみたい。ずーっと黙ってて最後に剛速球をいきなり投げてくるっていうのは起業家にもよく言われます。

長南 本当は非常に怖い感じですね(笑)余計なことは言わないけど、すべて分かってるよという感じ。

今野 出来る限り。余計なことが何なのかっていう話で、そこはもう僕はいまだに試行錯誤です。すごく難しいのは例えばこちらがこれが真理だろうと考えている概念と起業家の考え方がずれている場合に、ここはこうでしょって言っても、起業家の視野になければその起業家にとっては存在し得ない事実なんですよね。一生懸命やっててずれている、もしくは申し訳ないけど能力的に足りないっていうケースがもしあった時に、こうでしょって言っても何も生まれない。一生懸命やってくれていることに変わりないから。そういう時にどういうコミュニケーションすべきかって言うのがとても迷う。

長南 それでも何らかの形で教えてはあげるんですか。

今野 それはいろんな形でやってますよね。例えばそれが出来ている経営者とかと会わせて気づいてもらうとか。直接言っても仕方がないし、やっぱりあるところで起業家と投資家の役割の違いで受け入れられないことって起業家にはあると思うんです。「オペレーションやってないから言える」みたいな。そういう時は、同じような課題を解決して伸びている起業家を会わせたほうが早い。

長南 それで一番会わせる比率が高い人とか、この人に会うと結構変わるなっていう経営者っていますか?

今野 ある経営者には2,3人会ってもらったけど、やっぱり起業家の目の色が変わった気がしますね。

長南 その後の行動にも影響していると。色んなこと試してやっている感じですか。さっきの起業家との関係性からするとあんまり飲みに行ったりしないですよね。

今野 大人数の飲みには行かないんだけど、個別では結構行きますよ。そういうのはほとんど良い状況じゃないっていうか良くない時。良い時は行かない。まあ良い時の会社も必ず次の課題があるので、結果何かあったりするんですけどね。飲まなきゃ話しづらい話となると人事系の話が多いかな。

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